1.2 粉じんの排出基準

湿式切羽(たとえば陸砂利採取場のように、採取作業を水中でするもの)およびこれに付随するプラント以外、必ずこの基準の適用を受けているのが、ヨーロッパ骨材産業最大の特徴でもある。

わが国の大気汚染防止法には、ばいじん(加熱、燃焼によって発生するすすおよび固型微粒子)に対する排出規制はあるが、粉じん(物理的な破砕や運搬などの工程で発生する固体微粒子)に対する排出規制がない。わずかに環境規制として、浮遊粒子状物質の一般環境基準が提示されているにすぎない。したがって、破砕業等の特定工場では、粉じん発生施設に粉じんの拡散を防ぐための手段さえ講じていれば、法的に問題ないことになっている。

しかるに一方、欧州諸国では、すでに粉じん排出基準が制定されている。これはやはり、プラントの建屋が密閉式であること、したがってプラント内部の粉じんを外部に排出するために、専用排気口を備えた構造が極く一般に採用されているからにほかならない。そして粉じんによる大気汚染を抑制するためには、必然的にその排出量規制がおこなわれるわけである。

西ドイツでは排出基準として一律に150mg/Nm3という値いであるのに対し、英国は専用排気口からの排気総量に応じて3段階に区分されている。すなわち、
排気量 700m3/分以下:460mg/m3以下
排気量 700~1400m3/分:46~230mg/m3
排気量 1400m3/分以上:230mg/m3以下
となっている。なお、排気量700~1400m3/m3のものに対しての基準値の割振りは、その排気量に応じて比例按分される。つまり当該基準値Ymg/m3の算出方法は、現在の排気量から700を差引いた数(これをxとする)を使って次式によっておこなえばよい。

ここで英国と西ドイツの排出基準に対する考え方に、大きな差のあることは、極めて興味深い。まず基準値そのものについて、英国は弾力的であるのに対し、西ドイツは画一的であること、しかも1974年中には、従来の基準がさらに強化されて、半分の75mg/Nm3になるという点、そして第二は、粉じん濃度を排気の標準状態1m3当り粉じん量としている西ドイツに対して、英国は温度15℃、圧力(気圧)0.987気圧の状態 (ほぼ通常の日中における大気状態と考えてよい。)における排気1m3当り量としている点である。

英国における粉じん排出の規制が、弾力的であるもう一つ例を次に示そう。すなわち前記の排出基準は、1971年(昭和46年)以降に設置された新式除じん装置を有する排出設備について適用され、それ以前に設置の排出設備は、排気量の如何にかかわらず、1978年(昭和53年)12月末日までは460mg/m3を超えなければよいことになっている。

第3・1図 密閉建屋の砕石プラント例(英国)
第3・1図
密閉建屋の砕石プラント例(英国)