3 環境保全編

1.環境保全対策にかかる法的規制と指導方針

1.1 概要

ヨーロッパを旅した人に感想を求めると、ある人は、建物は古くさく煤けていて汚かったといい、またある人は、草花の手入れがゆきとどいていて綺麗だったいう。確かにその通りだと思う。しかしもし一つ付加えるならば、煤けた建物も、庭に咲き乱れる草花も、公園や道路の配置から川の流れまで含めた全体が、実に「調和」した美しさを持っている、ということだろう。換言するならば、ヨーロッパの環境保全対策は、調和を保ち、調和を乱さぬことを根底とした政策や規則からなり立っている、といっても過言ではない。

骨材は国民生活や社会秩序の維持と向上に、欠くべからざるものであることをふまえ、これが開発は、石油や鉄鉱石、金銀鉱石の採掘と同程度に重視している。したがって開発そのものを制限することはほとんどなく、その家庭や終了後に発生する迷惑行為の抑制に重点が置かれる由縁である。

原石や砂利の採掘に、自然は破壊をまぬがれない。問題はその破壊の仕方であり、破壊後の後始末を、わが国で砂利採取法や採石法が施行され、発行に移ったそれより以前に、すでに、適切な立法化がなされ、業者において確実に実施されていたことであろう。

原石採掘場や砂利採取場を、人家や集落から離れたところに、ほとんど自由に設定できるという恵まれた自然環境にありながら、発生する粉じんや騒音によって、環境の調和が乱されないように、プラントは最初から密閉建屋方式としていること(ただし粉じん発生のない湿式切羽とそれに付随するプラントは、人家が付近にない限り除外されている)、砂利採取跡地は絶対的に埋戻しして、採取以前の状態にするか、または改修してレジャーランドなど共用地を作らせる。かと思えば、原石山終掘の場合は必ずしも緑化を前提としないかわりに、設備、機材の撤収を速やかに行なって整地し、次の利用がし易いような状態に「改修」させるなど、狭い国土を広く使おう、という思想が、行政当局、業界を通じて存在していることは、何ともうらやましい限りである。

いわゆるヨーロッパ的合理主義がなせる業か、あるいはまた、遠くローマ時代から、石の道路を築き、石の家に住み、石の文化に囲まれて来た伝統が、骨材の必要性をごく自然に人々の間に受入らしめたためか、それは断定できないが、増大する骨材の需要を、全て他人まかせ、あるいは他国まかせとし、「緑の保全」だけが公害防止の道であるとするような思想または政策と、違うことだけは確かである。