1.4 環境修復に対する規制

わが国でも、採掘跡処理に対する考え方が、少なくとも最近は、ようやく「前向き」の姿勢を示すようになったが、それでは具体策はといえば、まだまだの状態であり、合法的な解決法はまったくないといっても過言ではない。端的にいって、この問題に対するわが国の場合には、跡地処理とは、あくまでも「緑化」という「錦の御旗」にこだわりすぎること、したがってそれに付随する「資金手当」に難渋することが、跡地処理問題の解決を遅らせているのではないだろうか。

原石採掘が終了した場合、ヨーロッパでは必ずしも「緑化」は大前提とされていない。「必要があれば」緑化はするが、規制において最も強調されている点は、「次の目的のために、使い易いように整備しておくこと」である。たとえば終掘後の必要条件として、英国では次のような規制条項がある。

「原石の開発に先立って発生した剥土、生産の工程で発生した残土は貯蔵して置き、将来の切羽跡埋戻し、または改装用材料とするよう努力すべきこと。採掘が終了したならば、切羽跡は完全に平地化し、すべての設備または機械類は、これを1年以内に撤去すること。必要があれば、残壁および旧切羽は植樹または、植草する」。

そしてもう一つの特徴は、跡地修復用の資金を、採掘稼働中に積立てて置く制度(普通採掘原石1トン当り幾らという基準になっていて、日本円で40~50円/t程度のようであった。)が確立していることだろう。英国においても西ドイツにおいてもこの制度は普及しているから、跡地整理に対する財政負担を苦痛とするような様子は、われわれ調査団が訪問した事業所に関する限りなかったことを付言しておく。

一方砂利採取では、採取後の「埋戻し」が絶対条件であることは、「現在の日本」と同じである。このことについては、既に1.1 概要でも触れたが、規正法の適用が弾力的であり、実際的である…を、ベルギーの例を示して説明しよう。

ベルギーでは、1962年(昭和37年)頃までは、採掘跡を50%埋戻すだけでよかったらしい。その頃、埋戻しの材料は「骨材として不適格な」屑砂利や表土であった。ところが地下資源の徹底的利用政策がしかれ、同時に美観上から採掘跡100%埋戻し命令も発効した。もともと、埋戻し用の土が確保できるような「山」にめぐまれない国なので、埋戻し材料は極度に不足し、そのため、採掘作業の存続を断念しようとした事業所もあったらしい。そこで、行政当局と業界は「都市整備共同事業体」を設置して、都市環境の再編成と整備を基本とした、総合的な埋戻し計画を練直した。

第3・2図 湿式切羽による陸砂利採取(ユーゴスラビア)
第3・2図
湿式切羽による陸砂利採取(ユーゴスラビア)

ヨーロッパの陸砂利採取場は、ベルギーに限らず、採掘深さに対する制限がない。したがって地下水位以下まで掘り下げているので、大部分が切羽に水を持った湿式切羽になっている。都市整備共同事業体はこの事実に着目して、埋戻し材料が不足して埋戻し不可能な部分は、そのまま「水溜り」を残し、「風致」を整える改装方式を提唱したのである。時に1965年(昭和40年)であった。

このような規制にともなって、英国および西ドイツの採掘跡整備用積立金制度と同じように、砂利1トン当り36~40円程度の鉱山使用料を徴収し、跡地改装時には還付金の形で使用できる制度も作られている。