2.環境保全対策の現状

2.1 粉じん防止対策

(1)砕石プラント

湿式切羽に付随するプラント以外のプラントは、まず例外なしに密閉建屋方式である。建屋が密閉化されているからこそ、プラント内の粉じんを外部へ排出する必要ができてくる。外部へ粉じんを排出する場合、その量が多ければ大気汚染問題を起こすので、ある種の集じん法を考えなければならない。

ヨーロッパにおける乾式切羽に付随するプラントの防じん対策のパターン(ひな型)は、およそ第3・3図のようになる。
原石投入、一次破砕機および一次ふるい、その運搬ベルトコンベアでは一般に散水による防じん、二次破砕以降の各系統では、集じん機による集じんを行う。製品の貯蔵法も、サージパイル方式はほとんどなく、タンク式(貯石槽)で、時に貯石槽全体を密閉建屋で囲って、集じんしているケースもある。

第3・3図 破砕プラント集じん方式の例
第3・3図
破砕プラント集じん方式の例
第3・4図 貯石槽を密閉建屋として集じん装置をつけた例(英国)
第3・4図
貯石槽を密閉建屋として集じん装置をつけた例(英国)。左端はサイクロン集じん機

集じん装置はサイクロン型が多い。英国においても西ドイツでも、現在の粉じん排出基準は、散水とサイクロンで十分に維持できると言明していたが、排出基準値が強化された時点(英国では旧式プラントに限り、昭和53年までは俳風量に関係なく排出粉じん量は0.46g/m3を超えなければよい。1.2粉じんの排出基準の項参照)では、バッグフィタの全面的使用を考えねばならぬことを示唆していた。特に西ドイツでは1974年中頃(昭和49年)、0.075g/Nm3と規制が2倍に強化された時点では、たとえバッグフィタを用いても解決不可能な水準であると、きわめて非観的であった。

密閉建屋外部を走るベルトコンベアには、ベルト巾に関係なく風よけフードがついているのも、わが国では珍しい風景の一つである。

(2)切羽および採掘作業

この部分における防じん対策は、むしろまったく行なわれていない、といっても過言ではない。ヨーロッパの原石切羽は、その大部分が「くり抜き採掘」またはピットダウン方式のために、切羽面が直接外部環境に露呈せず、残壁が「防じん壁」のような格好になっており(第2・3図、前出)、採掘場自体が人家から遥かに離れたところにあることが多いから、間歇的な粉じんしか発生しない切羽作業では、それ程気に留める必要がないことも事実に違いない。しかし本心は、われわれの質問に対する現地の技術屋さん達の返事を総合した、次のような言葉によって代弁されているのかも知れない。

「採掘によって生じる粉じんは一時的なものである。物をこわす時、ほこりが出ない方法があったら教えてくれ。」

(3)道路粉じん

道路からの発じん、特に製品搬出道路沿いの一般人家からの苦情の大部分が、ダンプトラック走行によって発生する道路粉じんに寄せられていることは、わが国の場合、あまりにも普通の現象であり、骨材を生産する側にとっても、最も対策に苦慮しているところである。そしてその代償が、町や村への「定期的な」寄付となり、あるいは散水車による、一時的な防じんサービスとなる。

ヨーロッパの場合、その対策は、専用搬出道路の舗装以外ないとしている。英国においてこの問題に対する最善の解決法をたずねたところ、「貴国ではまだ舗装していないのか?」と、逆に質問を受けたほどであった。

事実、英国の道路舗装率が世界一であることは知られているが(工法上の出来、不出来はとにかくとして)、その率は、骨材搬出専用道路についてもあてはまるようで、英国砕石・スラグ骨材連合会(B.Q.S.F)に所属する各社は、専用道路がいわゆる「水締めマカダム」の時代は1930年(昭和5年)以降において終った、と豪語していた。

第3・5図 ターマック社トップレイ鉱山の洗車ピット
第3・5図
ターマック社トップレイ鉱山の洗車ピット

舗装といっても、最初から本舗装する必要はなく、工場は切羽で発生する「商品価値の低い」細骨材と粗骨材を適当な割合でまぜ、更にこれをタールまたはピッチでこね合わせて道路に敷けば、ある程度、舗装と同じ効果が得られるということ、またこの方式は、工場内で定期的にトラックが往来する箇所、たとえば製品積込場と工場出入口、などの路面固化に適している、といった示唆を受けた。

一方、工場の出入口には、第3・図5のような洗車ピットをもうけたり、車輪洗浄シャワーを設置しているところもある。