1 調査団の目的と編成

1.骨材調査団編成の動機

戦後の急激な建設ブームが、日本の骨材生産に拍車をかけ、昭和48年度にはついに7億トンを超えるに至った。生産高を重量で評価した場合、骨材業は、実にわが国最大の産業となったことは周知の通りである。それにもかかわらず、「骨材」という名称はもちろんのこと、コンクリート建造物や道路に、「骨材」が使われ、しかも重要な役割を果たしていることすら知らない人が、われわれのまわりに、あまりにも多いこともまた事実である。

そのような事情に何故なっているのだろうか。紙と木を主体とした日本人のこれまでの生活に、「石」というものが、庭石や墓石ほど重要な存在ではなかったから、というのも、一つの理由だろう。しかしもう一つ忘れてはならない理由は、何億トンもの大量需要を前にして、ただ掘ることだけしか考えてなかった骨材生産業者が、不幸にしてあったため、そしてあるいは、骨材を単に「石ころ」としか考えず、監督指導を怠った片手落ち行政のために、骨材を生産することの必要性が、逆に社会悪の根源として、一般国民に印象づけられてしまったからではなかろうか。

いずれにしても、このような状態が続くかぎり、近い将来、10億トンという骨材需要を満たすことは、まったく不可能なことである。

何かをしなくてはならない。いまわれわれに欠けている何かを満たさなければならない。そうした気持ちが、現在の舗装道路に勝るとも劣らぬ「ローマの道路」を作った、ヨーロッパの骨材産業の伝統に向けられた。欧州骨材調査団の編成計画は、このような背景のもとに進められた。
調査団企画の趣旨説明に、「従来の単なる視察団的見聞に終わることなく、積極的な技術交流の場として本企画に御賛同賜ること」とあえて明記したがこれは生産と経営、利用技術、環境保全対策といった3部門から、「何か」を得ることが、現在のわれわれにとって最も急務であると考えたからにほかならない。