3.砂利採取の概況

ヨーロッパにおいても我が国と同様に、砂利資源は、河川砂利から陸砂利、山砂利および海砂利採取に移行しているようであった。まず、陸砂利ではベルギーとオランダの国境近くのマーストリヒト近郊(ミューズ川流域、下流のオランダ領ではマース川)、ユーゴスラビアのザグレブ近郊(サバ川流域)およびロンドン郊外の3地区4事業所を視察した。このうちマーストリヒト近郊採掘場およびザグレブでは人造湖を造って、採取船による採掘(バケットドレッジャー、ドラグラインおよびクラムシェル)を行っていた。砂利層はいずれも河川堆積層で、層厚は10~40m程度である。除去すべき表土は2m程度の処が多く、地表は牧場、畑地などであった。なおマーストリヒト近郊採取場では特殊表土捨船(ダンプシップ)を用いていたのが興味があった(第2・19図)。なお、砂利の品質はユーゴスラビアをのぞいて、かなり低いもののように見られた。

第2・17図 人造湖を作って採取、原石はベルトコンベアによって陸上プラントへ(ユーゴスラビア)
第2・17図
人造湖を作って採取、原石はベルトコンベアによって陸上プラントへ(ユーゴスラビア)
第2・18図 人造湖を作って採取船による採掘
第2・18図
人造湖を作って採取船による採掘。船内で、選別、破砕を行なう(ベルギー・オランダ国境)。
第2・19図 ダンプシップ
第2・19図
ダンプシップ。押し板によって、トコロ天を押し出すようにして排土する。

選別、破砕プラントも我が国と大差ないようであった。浮船式プラントでは、船内発電によって各種の機械を運転し、選別、破砕を行ない、製品は直接船積みで輸送されている。また、浮船式プラント以外の陸上プラントは(ユーゴスラビアおよびベルギー、オランダの国境にあるビヒタービヤード社)採取現場から選別、破砕プラントまでをベルトコンベア(300~2000m)で輸送している。したがって、浮船式では1次破砕機の能力、陸上プラントの場合は原石運搬コンベアの能力が限定されるためか、採取された原石中のオーバーサイズ(250~300mm、含有率は目測で5%前後)はすべて捨てられていた。日本流に考えれば、いかにももったいない感じであった。

堆積中の砂率は10%~20%程度で、ベルギーの浮船式プラントで稼行している砂の分級機の例を示すと第2・20図のようで、かなりコンパクトにまとめられているのが特長である。また、ユーゴスラビアでは細骨材の不足から―15mmを製砂機にかけて、砂の製造を行っていた(第2・22図)。ロンドン郊外の陸砂利現場は、まったく日本の陸、山砂利採取と同様な方式で行われ、とくに見るべきものはなかったが、採取地の広さだけは我が国と桁違いに広大なものであった。

第2・20図 ベルギー船の砂の分級機
第2・20図
ベルギー船の砂の分級機。狭い船内プラントで、コンパクトに造られている。
第2・21図 ベルギー船の砂の分級機(和田団員の原図)の概念図
第2・21図
ベルギー船の砂の分級機(和田団員の原図)の概念図
第2・22図 振動ロッドミル(西ドイツGämmerler社製)による製砂(ユーゴスラビア)
第2・22図
振動ロッドミル(西ドイツGämmerler社製)による製砂(ユーゴスラビア)

このような陸砂利採取においては、日本と同様に、その跡地の埋戻しが大きな問題である。各国とも埋戻しが原則であるが、我々が視察した事業はすべて、政府の積極的な方針と指導によって採掘が行われており、跡地は水上レクリェーションセンター、貯水池、運河などに使用されるため、埋戻しを必要としない、とのことであった。逆に言えば、これらの施設を建設するために、砂利を採掘させると言う姿勢と思われる。現に、ベルギーでは、跡地の水上レジャーランドにも案内された。まだ完成されていないが、仲々立派なものであった。このような考え方は欧州に広くあるようで、イギリス砕石鉱滓連盟のパンフレットにも多くの事例が紹介されている。第2・25図はさきに述べた共同採取場の跡地計画図で、キャンプ場、水泳場、日光浴場、ボート池、ヨット池、レストラン、屋内水泳場、劇場などが計画されている。

第2・23図 採掘跡地の水上公園(建設中)(ベルギー)
第2・23図
採掘跡地の水上公園(建設中)(ベルギー)
第2・24図 採掘跡地を牧草地へ改修している例(英国)
第2・24図
採掘跡地を牧草地へ改修している例(英国)
第2・25図 エースデン(マーストリヒト近郊)共同採取場の跡地計画
第2・25図
エースデン(マーストリヒト近郊)共同採取場の跡地計画

つぎに海砂であるが、イギリス、ベルギー、オランダでは、ドーバ海峡で海底の砂利を採取し、これを自国のプラントに持ち帰り、水洗による脱塩を行っている。その一つである選別プラント(英国ロンドン、テムズ川口)の視察を行った。原料は、ドーバの水深10~20mの海底から、4,000t級のドラッグボートで採取され、プラントに持ち帰って水洗による塩分除去を行っている。水洗された製品中の塩分は粗骨材で0.1%、細骨材で0.4%程度に下げられ、ほとんど問題なくしようされているようである。原砂の砂率は60%程度で、残りの40%が粗骨材として回収されている。また、採取地域によっては原砂中の貝がらの混入率が高く、基準の14%以下に押えるために苦労するとのことであった。さらに海上採取は天候に支配され、とくに冬期の稼行が困難であるとのことであった。

またオランダでは海上プラント(母船式・休止中)を遠望したが、これなどはなかなかユニークなアイデアと思われた(第2・28図)。

第2・26図 ロンドンの海砂利選別脱塩工場の荷揚げ施設
第2・26図
ロンドンの海砂利選別脱塩工場の荷揚げ施設。左はテムズ川。
第2・27図 ロンドンの海砂利選別脱塩工場のプラント全景
第2・27図
ロンドンの海砂利選別脱塩工場のプラント全景。
第2・28図 海上プラント(オランダ)
第2・28図
海上プラント(オランダ)。ポンプで吸い上げられた砂利を、選別してストックパイルに入れる。製品運搬船はこのプラントの下に入り、積み込みを行う。